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「どういうつもり?」
出勤早々、先輩に会議室へ連れてこられ、1枚の資料を渡された。
そこには全営業員による先月の目標と結果がプリントされていた。
各々掲げた(会社から課されたノルマ)目標と結果がはっきりとグラフにされており、その中で自分の名前を見つける。
見事に最下位の所にあった。
「新人とは言え、いくら何でもこれはないでしょ?」
自販機で買ったであろう缶コーヒーを飲みながら冷たい目で睨み付けられる。
「すいません。今月は目標達成できるように努力します。」
嫌な空気だ。目のやり場に困る。
「それに、今何時だと思ってんの?」
ついさっき、タイムカードを押したとき、時計は7時半を過ぎていたので恐らく今は7時45分頃だろう。
「そんなゆっくりしてる暇あるなんて余裕だね。
もし俺が先月お前と同じ結果だったら1時間でも2時間でも早出して、1件でも多く契約取ろうとするんだけど?」
アドバイスとも嫌味とも取れる微妙な言い回しに耳が痛くなる。
「新人だからって余裕かましてると大変なことになるから。今言ったからね。聞いてないとか後から言わないでね。じゃあ俺はもうアポが入ってるからもう行くから。何かあったら連絡して。」
そう早口で捲し立て、先輩は会議室を後にした。
朝から胃が痛い。しかし弱音を吐いてもいられない。今月は何としても目標達成して、見返してやろうとその時は思っていた。
しかし、現実は甘くはなかった。