徒然日記

約7年間の出来ごとです。

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「キャンプにでも行くんですか?」
そこに置かれたのはアウトドア用品売り場で見かけるキャリーカートだった。しかし、いくら頭を捻ってみてもキャリーカートと仕事は到底結び付かない。

「そんな訳ないだろ。お前、今日から車使うの禁止だから。」

どういうことか全く理解できない。

「誤解するなよ。勿論、現場までは車で移動する。そこからだ。今までは一軒ずつ車をお客さんの家やマンションに横付けして、訪問し、終わったらまた車に乗って移動してきただろ?」

確かに。あまり長い間横付けすると、苦情が出るので気を付けなければならないが。

「そのやり方を止める。そのキャリーカートにバックを乗せて歩いて訪問して。チラシは手で持てるよな。現場までは俺が送っていくから。」

いきなりの指示に困惑していると、続けて決定的な一言を言い放った。

「お前の運転下手過ぎて仕事にならない。車使うより歩いた方が早いだろ?若いんだし体力あるでしょ? 」

何も言い返せなかった。

言われるがまま、荷物を先輩の車に乗せた。そしてそのまま現場まで送ってもらう。

30分後、現場近くのコンビニに到着するとバックを乗せたキャリーカートと大量のチラシと共に降ろされる。

「夕方に一度見に来るから。その間に何かあったら連絡して。」
そう言って去っていった。

取り残された子供のように佇んでいた。
まあ、やることは変わらない。一軒ずつ訪問するだけだと、自分自身に言い聞かせ、ガラガラとキャリーカートを引っ張り歩く。

これから地獄のような時間が待ち受けてることも知らずに。